営業利益とは?営業利益についてわかりやすく説明

この記事の対象者
・学生 (高校生、大学生、就活生)
・若手社会人
・用語の意味が気になる一般消費者

営業利益とは?(写真:Unsplash)

営業利益とは?

営業利益は、本業の事業で稼いだ利益です。「売上 – 事業で発した費用※」で計算されます。仮に、事業の売上高が20億で費用が18億の場合、営業利益は2億になります。売上高が30億で費用が35億の場合、営業利益は-5億(営業損失5億)となり赤字状態です。
※人件費、仕入れ、広告宣伝費、減価償却費、賃貸料等

営業利益のありがちな勘違い

「営業利益」のありがちな勘違いを紹介します。

× 営業利益は粗利である

営業利益は粗利(売上総利益)ではありません。粗利は、人件費・広告宣伝費などの費用が差し引かれていないため、営業利益とはまったく異なります。

× 営業利益は営業収益である

営業収益は売上高であり、営業利益ではありません。企業によっては売上高を営業収益で表現する場合があり、メディア・ニュースでも企業発表のまま「営業収益」と表現される場合が多いです。「営業利益」と混同しないよう注意が必要です。

× 営業利益がプラスであれば数字通り順調である

営業利益は様々なイレギュラーが存在し、営業利益の数字だけで企業状態を判断できる単純な指標ではありません。詳しくは後半の「営業利益(営業利益率)だけで単純に判断できない」を参照下さい。

× 営業利益がそのまま企業の蓄えになる

企業の利益は「営業利益 + 営業外利益(損益) + 特別利益(損益)」から最終的に「税金(法人税等)」が差し引かれ、残った金額が企業の手元に残ります。

営業利益率とは?

営業利益率は「営業利益 * 100 / 売上高」で計算され、売上高に対する営業利益の比率を示します。赤字の場合は、営業利益率もマイナスになります。

経常利益とは?

本業以外で発生する利益は、日本会計基準では営業利益ではなく営業外利益(損益)として計上されます。そして営業利益に営業外利益※を追加した勘定科目は「経常利益」となります。
※営業外利益は、主に不動産収入、株式売却益、借入金の返済などの本業以外の損益になります。

メディアによって営業利益に違いはあるのか?

様々なメディアで見かける営業利益は、元々企業が発信した情報を取り扱っており値に違いが出る事はありません。しかしながら「決算期間が違う/会計基準が違う」など、何らかの定義が異なる事で営業利益の値が異なる場合があります。メディアやニュースでは、わずかな単語でしか定義が示されない場合が多く、勘違いしないよう都度注意が必要です。

決算期間の違い

「通期決算(1年単位の決算)」と「四半期決算(3ヶ月毎に発表される決算)」によって営業利益は異なります。ニュースによっては「四半期決算」が大きく取り上げられる場合があり、混同しないよう注意が必要です。また年が異なる場合、決算期が異なるため、当然営業利益は異なります。

単独/連結の違い

連結企業の場合、単独会社の営業利益と連結企業の営業利益は異なります。

会計基準の違い

会計基準が異なる場合、営業利益も異なります。「会計基準が変更され、過去の期の営業利益が変わる」「複数の会計基準が存在し、各々で営業利益が異なる」などがあり得ます。

決算短信と有価証券報告書の違い

決算短信は、最も早く報告される決算情報です(決算日から30日程度経過後に報告)。決算短信は監査が済んでおらず、有価証券報告書の正式な営業利益の値とわずかに違いが出る場合があります。(参考: 有価証券報告書の見方)

営業利益は会計基準によって定義が違う

営業利益は会計基準により、定義が異なります。日本の企業でも海外標準の会計基準(米国会計基準、IFRS等)を採用する企業は多く、その場合は日本会計基準と営業利益の定義が異なります。主には営業外損益の計上方法の違いの差が大きい状況ですが、各費用の計上方法・連結対象の定義など様々な違いが存在し、営業利益は異なった値になります。

各会計基準の主な違い
日本会計基準での主な定義 本業で発生した利益。営業外損益は含めない。
IFRSでの主な定義 営業外損益を含める。のれん償却を行わない。
米国会計基準での主な定義 営業外損益を含める。のれん償却を行わない。

営業利益率は一般的にどの程度か?

一般的に営業利益率は「数% ~ 10%前後」となり、業種によって水準は異なります。「流通系企業の場合、売上高が大きく営業利益率としては低い」、「IT系企業の場合、売上は大きくないが営業利益率が高い」など業種よってある程度傾向はありますが、基本的には個別企業によって大きく異なります。中には営業利益が非常に高く、50%程度になる企業も存在します。売上のうち半分が利益となる状態です。

営業利益は高い方が良いのか?

営業利益は、諸々の費用を差し引いた後に残る金額であり、営業利益が高い方が経営が良い状態と言えます。営業利益が高い会社の方が関係者はメリットを受けやすい状況です。

メリットを受けられる可能性が高まる
従業員 ・給与水準が高い可能性がある。中長期で給与が上がりやすい可能性がある。
・事業撤退やコスト削減等、マイナスな変動の影響を受けにくい。
投資家 ・中長期で株価が上がる可能性がある。
・予想外に営業利益が高いと株価が急騰する可能性がある。

ただしメリットはあくまで可能性であり、保証されるわけではありません。営業利益が高くてもメリットを受けられない場合もあります。

メリットを受けられない場合もある
従業員 ・営業利益が高い会社でも給与水準が低い会社は存在する。企業の給与は業績だけでは決まらない。
・給与は良いが目標が非常に高く、社内がギスギスしておりメリットを感じない。
投資家 ・特別高い営業利益を出した会社でも折り込み済みであり、株価に影響しない。
・高い営業利益の決算でも大口投資家の売却により株価が下がる。

営業利益(営業利益率)だけで単純に判断できない

また営業利益(営業利益率)は以下のような単純に判断できないケースがあり、数字だけで企業の良し悪しを判断する事はできません。「高収益体質の会社」と「借金が多く大赤字の会社」では一目瞭然で違いがわかりますが、一般的な企業の比較は営業利益だけでの判断は難しいケースがあり得ます。

単独決算での営業利益率は高いが、連結決算での営業利益率は低い

単独決算(本体企業)の営業利益率が高い場合でも連結企業の営業利益率が低い場合、利益状況の判断は難しくなります。本体企業が、持株会社として営業利益が高い場合もあれば、事業会社として営業利益が高い場合もあります。

ネット計上の会社のため、グロス計上の会社より利益率が高い

「ネット計上」は売上が小さくなるため、グロス計上より営業利益率が高まります。企業は様々な理由によりグロス計上、ネット計上を選択しますが、あくまで見せ方の違いであり、実態に違いはありません。

グロス計上 “売り上げた総額”を”売上”とする計上方法。多くの業種で選択される。
ネット計上 “仲介料などの粗利”を”売上”とする計上方法。主に商品を流す形態の企業の一部で選択される。
営業利益率は高めだが、質の悪い有利子負債が存在する

過去の負の遺産など質の悪い有利子負債が存在する場合や他人資本に依存しすぎる事業形態の場合、営業利益率が高くても企業の優良性判断は分かれます。

営業利益は良くないが、将来の期待が大きい

大きな赤字を出す企業でも将来性を期待され、従業員・投資家から人気の企業も存在します。大きな赤字を出す会社でも資金さえ確保できれば、経営危機にはなりません。また中長期で価値のある事業を育成するため、利益に強くこだわらない企業も存在します。無理に営業利益を出すより、将来の投資のためにお金を最大限使う方針の企業も多いでしょう。

営業利益は高めだが、営業活動によるキャッシュフローはマイナスである

営業利益は高めでも、営業活動によるキャッシュフロー(以下営業キャッシュフロー)がマイナスになる場合があります。営業キャッシュフローは実際に動いた現金にフォーカスしており、事業の採算性を把握する一つの判断材料です。仮に営業利益が黒字でも、実際に入ってくるキャッシュが少ない場合は営業キャッシュフローはマイナスになります。事業の採算性は良くない可能性はありますが、常に悪い事と見なされるわけではありません。

含み益が計上され、通常の事業運用から発生した営業利益ではない

営業利益が高い場合でも、通常の営業利益と異なる「含み益」で計上され、営業利益が大きくなる場合があります。反対に「含み損」を計上し、営業利益が大きく下がる場合もあります。このケースは事業実態と乖離する可能性があり、事業状況の判断が難しくなります(主にIFRSを採用している企業で判断が難しくなります)。

含み益・含み損について
株式・土地等で価値が変動した場合、取得価格との差額を含み益・含み損として損益計算書に計上する。計上のスタンス・方法は、企業によって大幅に異なる。

従業員一人当たりの営業利益について

「従業員一人当たりの営業利益」を見ることで、会社規模を考慮して利益状況を確認できます。「営業利益率」に加え、「従業員一人当たりの営業利益」を見る事で労力に対する利益状況を把握することができます。営業利益が10億で従業員が100人の場合、従業員一人当たりの営業利益は1000万になります。

確認方法として、企業は持株会社の場合が存在し、単独では判断しにくい場合があるため、連結企業の値の確認が推奨です。巨大な優良企業でも、連結企業の「従業員一人当たりの営業利益」は想定より少ない場合が多いです。また親会社と子会社の格差が大きいなど、連結企業で比較する意味が小さい場合もあります。その場合、「本体企業の売上比率、従業員比率」を意識しながら確認方法を選んでいく事がお奨めです。

お奨めのスタンス:

  • 連結の従業員一人当たりの営業利益を見る。
  • 可能であれば「本体企業の売上比率、従業員比率」を意識しながら、目的に応じて「単独/連結」を都度判断する。

 

例:

  • 本体の比率90%以上のため、単独の従業員一人当たりの営業利益を見る。
  • 本体の比率が2%のため、連結の従業員一人当たりの営業利益を見る。

営業利益はどこで見れるのか?

営業利益は以下の方法で確認可能です。上場企業であれば誰でも簡単に無料で確認できます。

1. 上場企業のコーポレートサイト IR(投資家情報ページ)

上場企業のコーポレートサイトのIRページにて営業利益を確認できます。※企業によって掲載方法は異なります。

閲覧方法:

「コーポレートサイト → IR(投資家情報) → 業績ハイライト等」

2. 決算短信・有価証券報告書

企業が報告する決算短信・有価証券報告書で営業利益が閲覧できます。※企業によって掲載方法は異なります。

決算短信:
「コーポレートサイト → IR(投資家情報) → 決算短信 → 決算短信のPDFファイル → 連結経営成績」

有価証券報告書:
「コーポレートサイト → IR(投資家情報) → 有価証券報告書 → 有価証券報告書のPDFファイル → 連結経営指標等」

3. Yahoo!ファイナンス

Yahoo!ファイナンスで簡易的な財務情報を閲覧できます。

閲覧方法:

「企業を検索 → 企業情報 → “単独決算推移”、”連結決算推移”」

例: KDDI任天堂

4. SFL会社調査

当サイトが運営するSFL会社調査では「営業利益」のみならず、「一人当たりの営業利益」「本体企業の売上比率、従業員比率」も簡単に閲覧できます。

営業利益、営業利益率:
「企業を検索 → 業績・財務」

 

一人当たりの営業利益:
「企業を検索 → 従業員・役員」