ITエンジニアのストレス

ITエンジニアでありがちなストレスの原因を説明します。ITエンジニアといっても勤務する会社タイプ・職種・業種は多種多様であり、ストレスのレベルやストレスの種類は職場によって異なります。また同じ環境でも人により仕事内容・責任度合い・給与等が異なり、当然ストレスの感じ方も人により異なります。そのためまったく同じ環境条件でも能力や人間が異なればストレスのレベル・感じ方は大きく変わる可能性があります。

ITエンジニアの仕事はストレスもある(写真: Unsplash)

主なストレスの原因

納期(タスク期限)

プロジェクトやタスクには大抵期限が設定されます。明確に期限設定されない場合でも暗黙的におおよその期限はあります。期限に間に合わない or 期限ギリギリなどを繰り返す人、もしくは常に高い目標期限が設定される人は大きなストレスになる可能性があります。「遅れてもまったく問題ない(本人にお任せ)」という職場も存在しますが、期限はわかりやすい指標のため、目標として設定されやすいです。特にシステムの請負業務の場合、納期が必須となります。ただしそのような状況でも仕事ができる人は期限より早い時間で終わるため、ストレスを感じにくい可能性もあります。

例: 期限目標の設定
「このタスクは来週までにお願いします。」
「そのタスクの期限は特にありません。クオリティ重視でお願いします。来月くらいに見させて下さい。」
「えーっ!まだこのタスクやってるの?」
「期限はないとは言ったけど、さすがにそろそろ完了させてもらいたいですよね。」

高い品質が求められる

高い品質が求められる場合、品質の実現のための労力がストレスになるでしょう。高い品質というのはスキルが不十分なエンジニアでは簡単には実現できません。そのため要求された品質の到達が非常に難しい場合、大きなストレスとなる可能性があるでしょう。

実現が難しい課題の解消

実現が難しい課題に楽しく取り組める場合は良いですが、解決の糸口がつかめない場合はストレスと感じる人は多いでしょう。課題が解消できないと成果がまったく出ないこともあるため、大きなストレスになる可能性もあります。

例: 課題解決の依頼
「肝心の〇〇機能が実装されないと意味がないので対応お願いします。」
「この機能(難解な事)はクライアントから強い要望が来ているので早々の実装が望ましいです。」

大量の作業

役割によっては大量の作業が発生する可能性があります。一時的であれば問題ありませんが長い期間で毎日のように継続する場合、ストレスになる可能性があります。

例: 業務の依頼
「今週はこの5個の機能の実装とドキュメント50ページ分をお願いします。毎日コンスタントにタスクをこなして半年後のリリースまで頑張りましょう!」
「この大量の作業はPMである私の仕事ではないのでSEである〇〇さんにお任せします。」

システムトラブル

システムトラブルが発生した場合、トラブル解消が必須となります。簡単に解消できればストレスにはなりませんが、トラブルの解消が難しい場合や目途が立たない場合はストレスになります。またシステムトラブルが頻繁に発生したり責任が問われる場合、大きなストレスとなるでしょう。

例: トラブル時の連絡
「早急に復旧してください。トラブル無いように復旧して下さい。」
「このシステムトラブルはあなたの作業が原因ですよね。どうするつもりですか?」

システムリスク

システムは突然問題が浮上する可能性がありシステムリスクがあります。システムリスクによっては大きな被害に発展する可能性もあり、人によっては心配が膨らみ大きなストレスとなる可能性があります。

例: 責任範囲の連絡
「前みたいな問題がまた起きるのはあり得ないので、絶対に気を付けて下さい。」
「セキュリティリスクは一切無しの認識で問題ないですよね?」
「このシステムは君の担当なので、十分にリスクの対策を取っておいてください。」

給与・評価が低い

会社や業界、ポジションによっては給与・評価が低い可能性があります。「成果が低く給与が低い」、「成果を出しても評価されず給与が低い」などです。特に労力をかけて成果が出ているのに評価が低く給与が低い場合、ストレスは大きいでしょう。

例: 査定面談
「ここ半年で結構良い結果を出してもらえているんですけど全般的にインパクトがもう少し欲しいですよね、今回の査定では1万/月アップの415万程度でお願いします。」
「今期はメインプログラマとして良い結果を出してくれました。ただし業績が悪化しており他の社員では手当の大幅カットなどをしている関係上、今回は450万からややアップの460万でお願いします。」

残業が多い(時間外が多い)

会社によっては残業が多い場合があります。残業が多い場合、心身ともに疲弊しストレスとなるでしょう。エンジニアの残業時間は会社により異なります。中小企業などで、残業管理に緩めな会社では依然長時間労働の会社もあるでしょう。

例: 業務連絡
「うちは残業が21時までしかできないので、仕事が追いついてない場合は自宅で勉強して下さい。」
「基本時間内に終わらせて下さい。時間がかかるのであれば、朝早く来て下さい。」

レビュー・チェック

システム業務では大抵レビューやチェックが発生します。設計が問題ないか?プログラムが問題ないか?手順やドキュメントが問題ないか?など別担当者が確認します。場合によってはレビューが厳しく、酷い場合は人間否定的な内容が含まれる場合もあり得ます。そのためレビューを受ける人はストレスを感じる場合もあるでしょう。

例: レビューでのコメント
「この設計よくないですよね。どうしちゃったんですか?」
「ここは〇〇〇のパターンを適用して下さい。いい加減覚えましょう。頭ちゃんと使ってください。」
「ここ全然理解できてないんで来週月曜までに熟知しておいて下さい。月曜に再確認させてもらいます。」
「なんでこの前言った事また繰り返しているの?お前バカか?」

スキルや成果が周囲に追いつかない

周囲のレベルが高くスキルが追いついていかない場合、劣等感や孤立感でストレスとなる可能性があります。場合によってはスキルアップや成果アップを指示され、大きなストレスとなる可能性もあるでしょう。

例: レベル感に対する苦言
「この前難しいとか言っていたタスク、新卒に任せたらサクサクやってくれましたよ。」
「まだまだこれからなので頑張っていきましょう。3か月以内にはスキル身につけてね。」
「まだこの段階なの?すごいなー。(悪い意味で)」

知識の確認でマウントを取られる

ベンチャー系など一部の会社ではマウントを取る行動が習慣的に行われている場合があります。該当分野に詳しい人や好きな人であれば問題ありませんが、そうではない場合はストレスに感じる場合もあるでしょう。当然周辺に追いついてない人は大きなストレスになる可能性があります。

例: 日常の会話
「〇〇さんって、△△△技術は当然知ってますよね、今後これに力を入れていくべきですよね。」
「えー、△△△の仕様を知らない人なんて今時いるの(声を上げる)?勉強不足すぎでしょっ。」
「最近〇〇〇技術の勉強しているんですよねー(ドヤッ)、ところで△△△さんは何の勉強しているの?(ってか勉強してる?)」

人間関係の悪化

エンジニアに特化した人間関係の問題としては主に下記があります。人間関係の悪化では「共感できない、嫌悪感、意見衝突、対立、反発、喧嘩」などが発生する可能性があり、対等な関係でも上下関係でも起こり得ます。人間関係が悪化するとストレスになり、ストレスが大きいと退職につながる可能性もあります。

a. 目標指示を起因とした高圧的な態度・権威的な指示などによる人間関係が悪化

目標を指示する人は「取引先の担当者、上司、先輩、チェック担当者、上位の職種(PM等)」など様々です。

例: 業務指示
「これ出来てないんですけど?今週中に終わらせてくれますか?当然予定分も今週期限ですよ。」
「30項目中10項目も未解決なので早急に対応して下さい。」
「これじゃ到底納品無理です。もっとクオリティ上げて下さい。御社こういうレベル感なの?」
「全然できてないじゃないですか!(声を張る) だから業務委託や契約社員は使えないんですよね。」
b. レベル感の評価、優劣比較による人間関係の悪化(同職種、上司、同僚、後輩)

優劣比較による人間関係の悪化です。レベル感を評価する機会が設けられてなくてもMTGや普段の会話の中でレベル感を軽く話すシーンはあります。特性やレベル感がわかってくると応対(態度)が変わり、人間関係が悪くなる可能性はあります。

例: レベル感を確認する会話
「〇〇さん、これじゃダメですよね。」「〇〇さん(先輩)、雑すぎですよね。」
「新しく入ってきた人、△△△を知らないらしいよ。ヤバくない?」
「〇〇君は同期の中でも一番アウトプット低いよね。」
「相変わらず〇〇さんって仕事できないよね。もう無理でしょ。」
c. 異職種、異業種の人とのコミュニケーション・スタンスの不一致

エンジニアによっては異職種・異業種の人と一緒に働く必要があり、コミュニケーションやスタンスが合わず人間関係が悪化する可能性があります。エンジニアの場合、異業種・異職種とのスタンス不一致はありがちな問題です。

例: 異業種・異職種からの依頼
「仕様とか工数とか何言ってるかわかないんだけど、素早く漏れなくしっかりやってもらいたいですよね。とにかくうちはスピードが命なんで。」
「難しい事よくわからないんで問題ないようお願いしまーす。要望リスト送るので全部取り込んで検討してみて下さい。」
「ガワ(側)をなんとかして下さい。Reactも対応お願いします。CRONの方は簡単なんでなんとかなりますよね。(用語だけ並べたザックリ依頼)」
「部長がインパクトが欲しいと言っており良しとするかわからないのでこの機能も付けて下さい。他の部長からも突っ込まれるかもしれないので念のためこの機能もお願いします。内部設計の話はよくわからなかったので部長に確認してみます。」

揚げ足取り

転職者が多い会社では上下関係が弱くフラットな反面、一部で揚げ足取りのようなシーンがあります。揚げ足取りは業務支援や教育的要素は基本的に無く、相手を攻撃する事が主な目的の行動です。当然、揚げ足取りを受けた人はストレスを感じるでしょう。

例: MTGでの会話
「〇〇さんの設計、雑なので次のプロジェクトは役割変えるべきですよね。」
「タスクを遅延させた人をまたアサインするのは判断を疑います。」
「結果上手くいったかもしれませんが、正確に手順通りやってないとダメですよね。」

説明責任

ポジションに関わらず状況を説明する機会はあり、説明不十分の場合は説明の追加・訂正が求められます。そのため説明が出来ない場合はストレスとなるでしょう。説明は、説明の上手さより状況把握度合いが問われる場合が多いです。

例: 追加説明の指示
「この件、どうなってますか?」「なぜこの手順を踏んだのですか?」
「念のため理解した点を説明してください。」
「説明になってないですね。ちゃんと説明してください。」

管理責任・プロジェクト管理責任

プロジェクトマネージャーのようにプロジェクト管理やメンバー管理が発生する仕事ではメンバーの成果が自分の責任となります。プロジェクトでは納期遅れや品質不足、技術課題の解消など様々な問題が発生する可能性があり、それらが自分の責任となるわけです。プロジェクトでは対人関係の問題も発生する可能性もありストレスは大きくなります。特に必達の目標で不確定要素が多かったり、難航するプロジェクトは大きなストレスとなるでしょう。

事業や会社方針に共感できない

事業や会社の都合など、会社の方針に共感できないエンジニアはある程度存在します。エンジニアは比較的リテラシーが高く、中にはプロセス意識やコンプライアンス意識が非常に高い人がいます(各意識と技術力は直接関係はありません)。一方、事業の運用では都合上コンプライアンスの優先度を下げ、事業成長や事業の存続を優先する場合があり得ます(ベンチャーや中小に多いスタンスですが、規模問わずあり得るでしょう)。そのような会社のスタンスに共感できず、またコンプライアンス意識が低い人がいる事がストレスになります。

ストレスの影響は?

ストレスが多くなると下記のような影響が考えられます。

会話が少なくなる/ミスが多くなる

通常より会話が少なくなったり、情緒不安定、モチベーションダウン、ミスが多くなります。

体調不良などによる遅刻・早退・欠勤

遅刻や早退、欠勤が多くなります。連絡なしの場合もあり得ます。

休職

悪化すると休職を選択する人もいます。ストレスが多くなり鬱状態です。休職し復職する人もいればそのまま退職する人もいます。

退職

ストレスが許容量を超えると退職を選択します。過度なストレスがあり遅刻や休職などが一切無く退職を選択する人も当然いるでしょう。またITエンジニアの場合は売り手市場の傾向のため、ストレスが致命的になる前に転職を決断する人が多いと思われます。

ストレスは生産性を低下させる

ストレスは、生産性を低下させるので注意が必要です。ITエンジニアに特化した注意点は主に下記です。

ITエンジニアは性格的にストレスを感じやすい可能性がある

ITエンジニアは真面目な人・敏感な人が多く楽天的な性格とは対極的な性格の人が多いです(※ITエンジニアの主な性格を参照)。そのため一概には言えませんが性格的にストレスを感じやすい可能性があります。

ITエンジニアのストレスはかなりの生産性低下になる可能性がある

ITエンジニアの業務は作業系タスク思考系タスクが存在します。特に思考系タスクの場合、ストレスは大きな生産性低下に陥る可能性があります。中にはストレスによって業務がまったく進まない状態もあり得るでしょう。

重要システムを取り扱うエンジニアのストレスには注意が必要

重要なシステムを取り扱うエンジニアの場合、過度なストレスは要注意です。些細なミスが大きな問題を生み出す可能性があります。(熟練者でもストレスによりパフォーマンスが低下し、些細なミスで重大な問題を起こす可能性はあり得ます)

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